わが国では、むし歯予防のためのフッ素の利用法として、
1.フッ化物ジェル 2.フッ化物塗布 3.フッ化物イオン導入法 4.歯磨き粉への
フッ化物添加などの方法が行われています。(数字は予防効果が高い順)
この中で最も虫歯の予防・抑制効果が高く、しかも家庭で簡単に行えるのが、
1.フッ化物ジェルの応用です。夜寝る前、歯磨きが終わった後に、再度歯ブラシ
を使ってフッ化物ジェルを歯面全体に塗り込みます。塗り込んだら1回だけうが
いをし、口腔内に少量の低濃度フッ素を残留させるのです。(もちろん安全です)
これを毎日行うことによって、歯表面が強化され、むし歯になりにくい丈夫な
歯に変身させることができるのです。(フッ素はエナメル質の強化・耐酸性の増
強・再石灰化・抗菌作用・歯面滑沢作用などの5つの効果が期待できます。)
フッ素を萌えたての歯に用いると、緻密な虫歯になりにくいエナメル質に変身し
ます(エナメル質の結晶が大きくなることで、虫歯になりやすい部分である結晶
間の隙間の面積が減少し、虫歯になりにくい緻密なエナメル質に変わるのです)
永久歯が萌えそろう11~12歳くらいまでご家庭で毎日続けると良いでしょう。
定期検診時に行う2.フッ化物塗布もお忘れなく!1.だけでなく、1.と2.を併用す
ることで、虫歯予防の相乗効果が大いに期待でるのです。
海外52カ国では水道水の中にフッ化物を添加しています。この水道水フッ化物
添加が最も虫歯予防効果が高い予防方法なのですが、わが国では諸般の事情があ
りいまだに実施されていません。歯科医師として大変残念に思っています。
エナメル質の結晶(フッ素作用前) フッ素で結晶が大きくなった
虫歯はエナメル質(エナメル小柱)の結晶間の隙間に発生します。
エナメル質の結晶が大きくなったら隙間が減少し虫歯になりにくくなる。